生物多様性を生かした作物づくり
イチゴとトマトはビニールハウスを利用した施設園芸のため、外界と隔てられた不自然な環境です。そのような環境下で、農薬を積極的に使用すると、害虫のみならず、天敵や微生物をも消失させ、生態系はますます単一になり、かえって病害虫の多発を繰り返すことになります。当園では、多様な生物相を取り入れることで、特定の虫の多発を抑える『共生』ということを栽培の根本にしています。
土壌には多様な微生物が、またハウス内には益虫、なんでもない虫、害虫が、共生しています。私たちは害虫が増えないかをよく観察して、そのバランスが大きく崩れてしまったときは、それを整えるために影響の少ない農薬を最小限に使用します。
独自の有機質肥料を使った土づくり
微生物の多様性を確保するために、長年取り組んでいるのが手作りの発酵肥料づくりです。良質の有機質肥料(大豆、魚粕、魚骨、菜種かす、カニガラ、米ぬか、ブランなど)を選定し、それに自家製のこうじ菌と水を加えて発酵させ、約1カ月の時間をかけて完成させます。
とても手間がかかる作業ですが、土壌の多様性を生み出すもととなっています。イチゴやトマトは栽培期間が9カ月ととても長いのですが、1つのシーズンを終えるまで、病気のない非常に健全な状態を維持することができています。
有機質肥料の選定では、品質の良さ、できるだけ地元のものであること、履歴のわかるものであることを重視しています。